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科学のレシピ

自然の食餌を食べる大切さ

幸せなペットライフを送るためには、愛犬がいつも健康でなければいけません。そのためには日々の食餌内容が大変重要になります。病気を寄せ付けない健康な身体を維持させてあげること、それは飼い主の責任でもあるのです。

自然環境で生息するイヌ科動物に鼓腸症や癌、肥満、糖尿病などと言った病気は全くと言っていいほど起こっていません。典型的な大食動物で知られる野生のオオカミは他の動物を主要な食餌対象にしています。胃内容物の調査によれば、兎、家畜、バイソン、ヘラジカ、ビーバー、マウス、齧歯類、屍肉、カリブーなどを食べています。

捕らえた獲物の内臓などの組織に栄養素が集中していますが、摂取した食物の量で合成する能力を維持できるとされています。動物の肉は、低カロリーで、蛋白質、粗質物(消化困難な部位)、必須アミノ酸、必須脂肪酸、ビタミン、ミネラル、水分などその他の重要な栄養素が豊富に含んでいます。

小型犬から超大型犬まで、元来犬は肉食の哺乳動物の子孫です。犬の健康を維持させるためには、野生動物が食べる同じ食料を与えることが理想的です。

推奨できる食餌は、鶏、七面鳥、アヒル、牛、羊、豚、馬、兎、鹿、魚介類、その他の肉副産物、腎臓、心臓、肝臓、胃、腸、卵、牛乳、チーズ、ヨーグルト、野菜や果物類(少し添える程度)。

給与量は、便の状態を観察しながら食べるだけ与えてみましょう。超大型のグレートデンだと1回に1㎏はペロッと食べてしまいます。新鮮な肉であれば多くの量を与えても支障はありません。

また1度に大量のフードを与えるのは危険だと言われていますが、それは誤った食餌管理によって起こる事象であり、肉を大量に与えたからといって病気に掛かることはありません。犬の胃は摂取した食物の量に応じて収容能力を調節することができることがわかっています。

栄養学的には、「肉を満腹になるまで食べても害はない。むしろ炭水化物を避け、肉だけの食生活を続ける方が健康な身体を維持できる。肉の主成分である動物性蛋白質は身体の基となる最も重要な栄養素である。過剰に摂取しても身体が吸収せず、尿として排泄されるので肥満になることはない」とされているのです。


炭水化物の取り過ぎは有害

炭水化物を過剰に摂取すると健康に害を及ぼすとしてこのように指摘されています。
「炭水化物に含まれる糖質は、全く必要のない栄養素であるばかりか、むしろ害を及ぼしている。糖質とは、穀類、芋類、根菜類、野菜、果物などに含まれる炭水化物の成分である。日々の食餌から、必要の無い炭水化物を摂り続けるということは、その分蛋白質の摂取量が少なくなり、体脂肪が増え肥満の原因になる」と言うものです。これはヒトの研究で得られた成果です。

犬はヒトよりも肉食機能を有しています。肥満は犬にも有害な影響があることが立証されており、欧米の大規模な調査によれば、犬・猫の4分の1が肥満とされています。肥満は体脂肪の過剰沈着によるもので長寿に有害な影響があり、糖尿病や心臓疾患など様々な病気の発症誘因であることが知られています。

最近の癌研究によれば、驚異的な速度で増殖を繰り返す癌細胞がこの糖をエネルギー源に利用していることは常識とされています。ある調査によると、犬の45%が癌で死亡し、症例全体では23%が癌で死亡しているのです。さらに、食後の突然死で知られる鼓腸症も、炭水化物がバクテリア増殖に関与していることがわかっています。

野生のオオカミが、ペット達に流行する病気にかかる確率は皆無に等しいです。

ペットに対して、動物性蛋白質を中心に摂る食餌と言うのは、進化してきた肉食動物にとってきわめて自然な食餌法です。肉類をしっかり食べさせていれば、本来犬が得なければいけない必須の栄養は摂取できるのは明らかです。

犬は可愛いから、好きだから、総合栄養食と水だけで簡単に飼える、などと言った幼稚な発想が不幸を招いているような気がしてなりません。命の重さ、そして自然の食餌を食べる大切さを私達はもう一度見つめなおさなければいけません。

科学のレシピ

ドライフードと肉・骨

下記の肉と骨の飼料は、野生イヌ科動物が自然界で食べる餌に似せて作られた実験用の食餌です。

1987年、コネチカット大学のVan Kruiningen博士らは、給餌頻度の影響を比較する研究成果を発表しました。

アイリッシュセッター8頭による1年間以上の実験の結果、ドライフードは急性胃拡張発症のリスクを高める事がわかり、それに対し肉と骨の飼料の方が消化吸収に優れ、栄養的にも犬にとって理想的な食餌であることが明らかになりました。


原材料
市販のドライフード
挽いたイエローコーン
大豆の粗引き
トウモロコシグルテン
挽いた小麦粉
肉と骨の粗引き
BHA
トウモロコシグルテンの粗引き
ビタミン及びミネラル源類
肉と骨の飼料
皮と骨を含む丸ごとの鶏(60%)
挽いた馬肉(29.9%)
すりつぶした丸ごとのリンゴ(9.7%)
ぬか(0.4%)
ビタミン類(A,D,E)i
微量のミネラル類 

栄養素組成
 市販のドライフード*肉と骨の飼料
蛋白質(%)21.017.9
脂肪(%)8.09.7
炭水化物(%)45.0-50.02.0
繊維(%)4.50.3
水(%)12.056.7
熱量(Kcal/gm)3.51.4

*ピュリナドッグチャウ、ミズーリ州セントルイス所在ラルストン・ピュリナ社製
Van Kruiningen HJ, Wojan LD, Stake PE, et al. The influence of diet and feeding flequency on gastric function in the dog.Journal of the American Animal Hospital Association 1987; 23: 145-153.

肉は犬の食物

ペットの食餌は、できるだけ動物性蛋白源で供給しましょう。栄養学的に、鶏、馬、牛、豚、鹿、魚(マグロ)などの蛋白質とアミノ酸の含有量は、大体同レベルと言われています。
ワンちゃんの好みや価格面から相互に肉の種類を変更することも可能です。また、肉の一部にレバーを加えるとアミノ酸バランスが向上し、必須脂肪酸、コレステロール、エネルギー、ビタミン、微量ミネラルの供給源になるとされています。


犬が肉食動物とする科学的証拠

野生のイヌ科動物が食べる餌には、動物性蛋白質と動物の粗質物(すなわち骨、軟骨、鱗、鰭、毛皮、羽根、腱、歯といった消化困難な部位)が豊富に含まれ、炭水化物が少なくカロリーも低くなっています。胃の分析から、捕らえた獲物の肉を噛み裂き、丸ごと(消化困難な部分を含んで)飲み込むのを好むことがわかっています。これらのデータをペットの食餌に役立てるべきでしょう。



胃内容物の調査によるオオカミの食習慣
地域 標本数 空(から)率% 内容物文献
テキサス及びオクラホマa72ND兎、家禽、齧歯類、屍肉66
テキサス31NDワタオ兎、ジャック兎
屍肉、鹿
66
オクラホマ
ルイジアナ
アーカンソー
ミシガンND屍肉、鹿、兎、マウス66
ミネソタb
ミネソタ10ND鹿、屍肉66
ニューメキシコ10ND家禽、屍肉、鹿、兎66
アリゾナ
100th子牛線以西c3,346ND家禽、鹿、屍肉、兎66
ミシガンND鹿、カンジキ兎55
ミネソタ51ND鹿は80%に残る55
北アルバータ95ND41%にバイソンの残渣11
マニトバ75NDカリブー60%22
アラスカ131NDヘラジカ21%
カリブー、ヘラジカ、鹿
ビーバー
22

※【a】 アカキツネ  ※【b】 はいいろキツネ 
※【c】この地域はテキサス東部、オクラホマ、アーカンス及びミシガンも含む(17州
※【ND】 未調査

コヨーテの食習慣
地域 標本数 空(から)率% 内容物 文献
アーカンソー 227 26 家禽、柿、昆虫、齧歯類 16
カリフォルニア 3,982 44 齧歯類、兎、鹿
中央アルバータ 344 ND 屍肉、マウス、ハタネズミ
カンジキ兎
37
カンザス 1,451 ND 兎、齧歯類、屍肉 14
メイン 66 23 植物、小型哺乳類、カンジキ兎 42
ミズーリ 895 14 兎、マウス、ラット、家禽 23
北ルイジアナ 43 ND 齧歯類、兎、柿 63
テキサス 137 31 屍肉、齧歯類、昆虫、兎 34
ユタアイダホ 186 25 ジャック兎、全ての齧歯類、鹿
17州 14,829 13.6 兎、屍肉、齧歯類 53

※【ND】 未調査

キツネの食習慣
地域 標本数 空(から)率% 内容物 文献
中央マサチューセッツ 57 ND リンゴ、トガリネズミ、マウス 27
北フロリダ、
南ジョージア
171 ND 兎、齧歯類、鳥、昆虫 64
サウスカロライナ
ニューヨーク 134 ND 兎、マウス 40
ニューヨーク、
ニューイングランド
229 10 マウス、兎、草類 17
ミネソタb 34 14.7 マウス、兎、家禽 19
ミネソタc 58 8.6 マウス、兎、植物、果実 19
アイオワb 79 44 齧歯類、兎、鳥 48
アイオワc 33 42 齧歯類、兎、植物 48
アイオワb 50 ND 兎、マウス、鳥(鶏、キジ) 6
ミズーリ 1,170 14 野兎及び兎、マウス及びラット、家禽 24
ウィスコンシン 29 ND 兎、小型哺乳類、屍肉 20
ウィスコンシン 59 ND 兎、齧歯類、鳥
ウィスコンシン 59 ND 齧歯類、兎 41
ペンシルバニア 147 ND 鶏、兎、キジ 26
ペンシルバニア 147 ND 兎、ウッドチャック、鹿 5
インディアナ 211 ND 兎、マウス 21
オハイオ 89 ND フクロネズミ、兎、リス 13
ノースダコタ 200 ND マウス、狩猟鳥、兎 32
ビクトリア 1,229 ND 兎、羊、屍肉、マウス 4

※【b】 アカキツネ ※【c】 ハイイロキツネ ※【ND】 未調査

ネコ科の食習慣
<ボブキャット>
地域 標本数 空(から)率% 内容物 文献
ニューイングランド 224 27 変色兎、鹿、兎、ヤマアラシ 40
バーモント 143 マウス、鹿、野兎及び兎 18
ユタ、ネバダ 86 38 野兎及び兎、ミュール鹿
シカネズミ
12
メイン 101 12.8 鹿、野兎、リス 61
ミネソタ 50 ND 野兎、鹿、ヤマアラシ 45
<ピューマ>
地域 標本数 空(から)率% 内容物 文献
ユタ、ネバダ 401b 31 家畜の羊、ミュール鹿
ヤマアラシ
43
南中央ブリティシュ 132 鹿、カンジキ兎、ヤマアラシ 51
コロンビア        
<オオヤマネコ>
地域 標本数 空(から)率% 内容物 文献
アルバータ及び
マッケンジ地域
75 NDc カンジキ兎、ハタネズミ
58
中央アルバータ 13 ND カンジキ兎、エリマキ雷鳥
アカリス
36
ニューファウンドランド 40 ND カンジキ兎、ハタネズミ
カリブー、鳥
46

※【a】 内容物は重要度の順に配列 ※【b】標本全数を示す:夏季30、冬季245
※【c】重要度の順に与えられたデータから定まらなかった ※【ND】 未調査

Landry SM, Van kruiningen HJ, Food habits of feral carnivores; Areview of stomach content analysis. Journal of the American Animal Hospital Association 1979; 15: 775-782.

【参考文献】

>> Stomach Gas Analyses in Canine Acute Gastric Dilatation with Volvulus
 (犬の急性胃拡張の胃ガス分析:捻転を伴う)

>> Acute Gastric Dilatation A Review of Comparative Aspects by species and a study in Dogs and Monkeys (1)

>> Acute Gastric Dilatation A Review of Comparative Aspects by species and a study in Dogs and Monkeys (2)
 (急性胃拡張:各動物種の類似点に関するレビュー及び犬と猿における研究)

>> Gastric Gas Analysis in the Canine Gastric Dilatation-Volvulus Syndrome
 (犬の胃拡張捻転症候群における胃ガス解析)

>> Short-Chain Fatty Acids and Bacterial Fermentation in the Normal Canine Stomach and in Acute Gastric Dilatation
 (犬の正常な胃における場合と急性胃拡張の場合の短鎖脂肪酸と細菌発酵)

>> The Incidence of Clostridia in the Canine Stomach and Their Relationship to Acute Gastric Dilatation
 (犬の胃におけるクロストリジウムの発生率と急性胃拡張との関係)

>>Food Habits of Feral Carnivores A Review of Stomach Content Analysis
 (野生肉食動物の食習慣:胃内容物の分析に関する総合報告)

>>Acute Gastric Dilatation in Monkeys A Microbiologic Study of Gastric Contents Blood and Feed
 (猿における急性胃拡張:胃内容物、血液及び餌の微生物学的研究)

>>Acute Gastric Dilatation in Common Marmosets
 (コモンマーモセットにおける急性胃拡張)

>>Influence of dietary composition on gastric emptying and motility in dogs: potential involvement in acute gastric dilatation
 (犬の胃内容排出および運動性に対する食餌組成の影響:急性胃拡張における関与の可能性)

>>The Influence of Diet and Feeding Frequency on Gastric Function in the Dog
 (犬の胃機能に対する餌と給餌頻度の影響)

>>RELATIONSHIP OF BEAN SUBSTRATES AND CERTAIN INTESTINAL BACTERIA TO GAS PRODUCTION IN THE DOG
 (犬における豆類基質と腸内細菌が関与するガス産生)

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